YAGEOは1977年の設立で、台湾台北市に本社を置き、アジア、ヨーロッパ、北中南米に多数の生産・販売拠点を持つ世界有数の電子部品メーカーである。 抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランス、リレー、アンテナ、無線部品、回路保護部品などの製品群をワンストップショッピングで提供し、ユーザーの多様なニーズに応えている。
ドイツの金属材料メーカーであるHeraeus GroupのHeraeus Nexensos事業グループがYAGEO社に譲渡され、2023年4月より新たにYAGEO NexensosとしてYAGEOグループのメンバーとなった。

YAGEO Nexensosは白金測温抵抗体(PT素子)、及び白金測温抵抗体の技術を応用したヒーターのメーカーである。 -196℃~+1,000℃の広範囲で精度の高い測温が可能なセンサ素子とアッセンブリセンサを取り揃えている。 
世界シェアNo.1の白金測温抵抗体は、EV用インバータ、パワーモジュール、半導体製造装置チャンバー、自動車用排気ガス、医薬品の管理・運搬など多様な分野の温度測定に採用されている。
これまで世界的な市場で培った性能や品質、さらに供給性やサポート力を活用して、日本市場でさらなる拡大を目指している。

YAGEO Nexensos白金測温抵抗体
・世界シェア No.1
・測温の精度が高い
・反応速度が速い
・高信頼性・長寿命
・大量生産が可能

YAGEOグループと YAGEO Nexensos製品の販売について

YAGEOグループについて
YAGEOは現在、チップ抵抗器で世界第1位、ポリマータンタルコンデンサで第1位、MLCCと電源インダクタ、車載マグネティックスで第3位にランクされており、全世界で29の販売拠点、51の生産拠点、20の研究開発センター、40,000人の従業員という強力なグローバルプレゼンスを持っている。 YAGEOの幅広い製品群は、AI、自動車、航空宇宙、5Gおよび通信、産業、医療、IoT、パワーマネジメント、グリーン電力、コンピュータ周辺機器、家電などのアプリケーションを含む様々な市場をターゲットにしている。

YAGEO Nexensos製品の販売・品質保証体制について
YAGEO Nexensosは、1906年に世界で初めて白金測温抵抗体を開発したメーカーであり、長年に渡る測温抵抗体の開発、製造に関するノウハウが蓄積されている。 また、白金測温抵抗体の生産量は世界トップで、白金測温抵抗体の製造、出荷において世界シェアNo.1である。

YAGEO Nexensos社の工場は、ドイツ・クライストハイムとマレーシア・ジョホールにあり、ドイツでは白金測温抵抗体を製造し、マレーシアではそのアッセンブリを行っている。 完成した製品はドイツで在庫しており、日本の代理店からの注文に応じて、直接ロジスティックからユーザーへ供給する体制である。 
これらの工場はIEC、DIN規格にも適用しており、欧米中の各企業の監査も既に終了している。 白金測温抵抗体は世界市場向けに大量生産しているため、短納期での供給性が良いことが特長である。 また、アメリカ、中国には試作対応可能なラボがあり、少量の試作などに対応している。

日本における、YAGEO Nexensosの販売は、トーキンのセールス&マーケティング本部の地域営業(東京、名古屋、大阪)が製品の拡販ならびに窓口対応を行う。 既にYAGEO Nexensosとの商流がある場合は継続し、新規の場合は各地域営業が対応し、必要に応じて代理店経由での販売も行う。
YAGEO Nexensos製品の品質保証やデリバリーの責任は、YAGEO Nexensos製品担当部署が保証や責任を担い、センサ-ビジネスグループがその窓口対応を行うためサポート体制は万全である。

白金測温抵抗体の構造と特長

白金測温抵抗体は、貴金属であるプラチナ(白金)の「熱が加わると抵抗値が一定の値で上昇する」という特性を利用した温度測定素子である。 白金測温抵抗体を温度センサの中に内蔵、または基板上に実装して周辺温度の測定を行う。
YAGEO Nexensosの白金測温抵抗体は、長期安定性、互換性、応答性の早さが特長である。 また、白金を使用しているため、非金属を採用した他の測温手法と比べて非常に長寿命である。
YAGEO Nexensosは、複数の抵抗値:PT100、PT200、PT500、PT1000、PT10000と、温度係数:TC3750、TC3770、TC3850ppm/K仕様の薄膜型白金測温抵抗体と、セラミック巻線型白金測温抵抗体を提供している。

 

白金測温抵抗体の製品群


白金測温抵抗体の構造

YAGEO Nexensosの白金測温抵抗体は様々な製品をラインアップしているが、リードワイヤータイプと表面実装(SMD)タイプの2種類の製品を主に製造しており、その構造は以下の通りである。

 

リードワイヤータイプ

リードワイヤータイプはリード線が付いたセンサ素子で、最も多くのアプリケーションに応用されている。
リード線を取り付けるパッドをアルミナ基板に取り付け、リードワイヤーを溶接する。 さらに、リードワイヤー部の機械的強度を上げるため、接着剤で固定している。

 

 

表面実装(SMD)タイプ

表面実装(SMD)シリーズは長期安定性と互換性があり、低コストが求められるプリント基板の自動実装向け量産アプリケーションに採用されている。
リードワイヤータイプと同様に回路をガラスで覆った後に、コンタクトパッドを両サイドに取り付けている。

 

 

白金測温抵抗体の測温精度

白金測温抵抗体は、温度上昇に対して抵抗値がほぼ直線的に変化する特性をもっており、温度上昇にともなう抵抗値は国際規格であるIEC、ドイツの規格であるDINで規定されている。 YAGEO Nexensosの製品は、長年のノウハウを活用することで、最大公差は±0.3F、最小公差は±0.15Fまで対応が可能である。 
YAGEO Nexensosは様々な温度範囲の白金測温抵抗体をラインアップしているので、ニーズに合わせた選択が可能である。

 

白金測温抵抗体の温度特性

白金測温抵抗体は、薄膜プロセスを使用してセラミック基板に蒸着され、感熱抵抗器として機能する。 センサの電圧降下は高精度で測定され、温度に変換される。
白金測温抵抗体は、温度の上昇に比例して抵抗値も一次関数的に上昇する特性で、-196℃~1000℃の広い温度範囲で動作し、全領域で非常に高い精度の測温が可能である。

 

 

NTC(負の温度係数)サーミスタの温度特性

NTCサーミスタは、金属酸化物半導体セラミックを厚膜プロセスまたは圧縮粉末プロセスにより製造される。 温度が上昇すると指数関数的に抵抗が減少する負の温度特性で、抵抗の変化(電圧降下)を温度に換算する。
一般的な動作温度範囲は、白金測温抵抗体よりも狭く、エポキシコーティングのチップサーミスタの温度範囲は-55℃~+150℃、ガラスコーティングのチップサーミスタの温度範囲は-55℃~+300℃である。

 

白金測温抵抗体の反応速度

白金測温抵抗体とNTCサーミスタの測温の反応速度の測定データは以下の通りである。
グラフ内の黄色の線が白金測温抵抗体の反応速度を示しており、0℃~90℃までの測温が0.2秒以下で可能である。
一方、3種類のサーミスタの中で、NTC1は0℃~90℃までの測温が1.058秒である。また、NTC2は0.779秒、NTC3は1.139秒であり、YAGEO Nexensosの白金測温抵抗体の測温速度がかなり早いことが実証された。
EV用モーター制御の用途では、モーターの温度の上昇をスピーディーに測温しないとモーターが壊れることがあるため、安全面からも測温の高速性は重要である。

 

白金測温抵抗体とNTCサーミスタの反応速度の比較

 

白金測温抵抗体の誤差と信頼性

信頼性を測定するために、白金測温抵抗体とサーミスタNTC1~NTC4のテストサンプル各5個に対して、室温から300℃までの温度サイクル試験を1,000サイクル実施した。 その上で、全てのサンプルで0℃、100℃、300℃での温度計測を行い、その誤差をグラフ化した。
YAGEO Nexensosの製品の誤差は黄色で示しており、0℃、100℃に関しては、黄色のバーがほぼ見えないため、正確に0℃、100℃を測温できていることが分かる。 また、サーミスタの誤差のバーははっきりと見えるので、かなり誤差が大きいことがわかる。
次に300℃の測温では、NTC1の5個中2つのテストサンプルの個体はほぼ誤差がないデータを示している。 しかしながら、NTC2~4の個体に関しては大きな誤差を示しており、同じ製品でも個体によってばらつきがあることが分かる。
一方のYAGEO Nexensosの製品の場合は誤差自体が少なく、さらに個体差が少なくほぼ一定の割合で分布しており、1,000サイクル後のテストでも安定した測温が可能である。
この特長は、白金材料が高純度であることに加えて、YAGEO Nexensosの生産工程上のノウハウが大きく反映している。

 

白金測温抵抗体の誤差と信頼性

 

主なアプリケーション

YAGEO Nexensosの製品は、自動車排ガス温度センサ、EV関連、半導体製造装置、産業用モーターなどの分野に採用されている。
各分野の主なアプリケーションは以下の通りである。
  ■EV関連:eモーター、インバータ内のパワーモジュール、電池パッケージ
  ■半導体製造装置:チャンバー内外の温度管理、ウエハーの温度管理、薬液の温度及び濃度管理、気体流量計測
  ■産業用モーター:工作機械内部モーターの温度管理

EVの分野では、様々な電源部品が取り付けられているため、信頼性の高い正確な温度センシングが欠かせない要件となっている。 YAGEO Nexensosの白金ベースの温度センサ素子とアッセンブリセンサは、EVの安全と高性能に寄与している。

 

EV、PHEV、急速充電向けパワーモジュール用測温抵抗体

パワーモジュールにおいてはSiCやGaNの採用により、高効率、走行距離延長が可能になった。 ただし、最高200℃の高温で動作するには、新しい接続技術が必要である。 YAGEO Nexensosの焼結タイプSMDは、裏面がメタライゼーションになっているため、銀焼結プロセスが可能である。 表面の端子は絶縁保護されており、熱源/ダイにセンサを配置することで、応答性と測定精度が向上し、よりコンパクトな設計を可能にする。

 

パワーエレクトロニクス向け焼結タイプSMD

 

パワーモジュール自体の温度が200℃付近になると、従来の半田接続では半田の溶融温度に達してしまう可能性がある。そこで、焼結タイプSMDは高温下でも電気的機械的強度を保つために、銀焼結による接続をした表面実装型の白金測温抵抗体である。 さらにサーミスタを使う場合は、基板上に熱源とサーミスタの間に絶縁溝を作り電位差を埋める加工が必要であるが、焼結タイプSMDは絶縁性が非常に高いため、基板上の絶縁溝の加工は不要となる。 そのため、温度素子を熱源により近いところに配置することができ、また基板のデザインに合わせて自由にレイアウトすることが可能になる。

 

Eモーター向けアッセンブリ済み測温抵抗体

Eモーターは、電動化車両用の駆動用モーターとして電力を動力に変換する装置である。 モーターがキュリー温度に達してしまうことで磁力を失うようなことを防ぐために、モーターの温度を監視し、エネルギーマネジメントシステムやインバータにモーターの温度情報を送るための温度センサが必要である。 
多くの温度測定アプリケーションには、ハウジングセンサが必要とされている。 YAGEO Nexensosのアッセンブリセンサは、リードワイヤー付き測温抵抗体に電線を溶接し、素子、電線を二重収縮チューブで覆った製品であり、防水レベルIP67(68)を確保している。 
以下の製品写真は、ヘアピンタイプのモーターにアッセンブリセンサを取り付けた例である。

 

 

モーターを安全に長期ライフタイムで動作させるには、互換性、低ドリフト、高い信頼性を持つYAGEO Nexensosの製品が最適である。 YAGEO Nexensosの白金ベースのセンサ素子とセンサアッセンブリは、長期ライフタイムを保証し、様々なオプションのハウジングセンサを取り揃え、カスタマイズ可能な実装オプションとの組み合わせで設計を最適にサポートしている。

 

まとめ

近年はEV、半導体関連などにおける広範囲の温度の正確な測温の重要性が増しているため、YAGEO Nexensosは今後も市場ニーズに合わせた製品を投入し続けていく。 さらに、各々のアプリケーションに対応した正確なカスタマイズが、最高の機能性、精度、信頼性を実現するために必要である。 そのためYAGEO Nexensosのエキスパートは、ユーザーと密接に連携し、設計オプションや革新的なソリューションについて様々なアイデアを提供していく。

YAGEO Nexensosの製品は、着実にグローバルに拡大しており、Eモーターや充電インフラへの活用をサポートし、パワーエレクトロニクス分野における新しいレイアウト、材料設計の自由度を高めている。 すでに多くのユーザーに採用実績のあるYAGEO Nexensosのソリューションが、今後も性能、効率、持続可能性の向上に貢献していく。