スタンレー電気株式会社(以下、スタンレー電気)は、「光で、⼈々の⽣活に安全と安⼼を。」というコンセプトの元、紫外除菌製品ブランド「AℓNUV(アルヌーヴ)」を展開している。 ⾃動⾞ヘッドランプ等で培った独⾃の光学技術と、LEDパッケージ設計・製造技術を活⽤した、細菌やウイルスの除菌効果が⾼い265nm波⻑の深紫外LEDを開発し、光源から装置まで一貫して社内で設計製造したUV-C LEDリアクター、UV-C LED除菌装置をリリースした。

従来の水銀ランプと比較して、整流技術による流速分布の均一化、配光技術による照度分布の均一化により高い除菌性能が得られる。また、50mWLEDを使用した小流量タイプから、業界最高クラスの200mWLEDを使用した中~大流量タイプまで幅広いラインアップにより、様々なアプリケーションに対応することができる。

UV-C LED除菌リアクター
・265nmの光で高効率的な殺菌
・整流機構と配光技術により除菌性能を向上
・50mW/200mW光出力タイプをラインアップ

265nm 深紫外LEDの製造プロセス

スタンレー電気は、AlN基板、結晶成長、LED素子、LEDパッケージからモジュール製品まで自社で開発生産している。UV-C LEDリアクター・UV-C LED除菌装置においてはヘッドランプ用LEDで培った高放熱/高信頼性パッケージ技術を活かした製品となっている。

紫外線による除菌効果について

紫外線除菌のメリット
紫外線除菌は、熱や化学薬品を用いた除菌方法とは異なる特徴があり、様々なシーンで利用されている。
   ■薬剤とは異なり、使用後の拭き取りや洗浄が不要である
   ■塩素が効かない、耐塩素性微生物にも効果がある
   ■紫外線除菌に対する、耐性微生物が生まれない

細菌は、遺伝情報に基づく細胞分裂によって増殖、またウイルスは細胞に感染増殖することで発症へと至る。この増殖に必要な遺伝情報を持つのがDNAやRNAである。紫外線を照射すると、細菌やウイルスが持つDNA・RNAの螺旋構造を変化させ、細菌・ウイルスを不活化させる、つまり増殖を抑制することが可能となる。

 

波長による除菌効果の違い
細菌やウイルスが持つDNA・RNAの不活化は、使用する紫外線の波長によって効果が大きく変化する。DNA等には紫外線に対する感受性があり、その感受性が高い波長であるほど除菌効果が高くなる。
UV-Cの波長(100nm〜280nm)の中でも特に、265nm周辺が最も感受性が高い=不活化効率が高くなることが下図からわかる。
スタンレー電気では、除菌効果が最大となる265nmに発光波長のピークを持つ深紫外LEDを開発・製造している。

深紫外線による「水除菌」について

水除菌のターゲット領域
UV-C LEDリアクター、UV-C LED除菌装置の製品ラインアップと小流量、中流量、大流量の代表的なアプリケーション例は
以下の通りである。

水除菌の基本
家庭用浄水システムなど1方向に流れる水に対して紫外線を照射し除菌する「ワンパス型」には、低圧水銀ランプまたはUV-LED 光源モジュールを利用する。主には、ウォーターサーバー・家庭用浄水システム、小規模水道システム、浄水場等の用途に使用され、ワンパスで飲料水を生成することが可能であり、濾過フィルターのメンテナンスの削減にも貢献する。

 

 

UV-C LEDリアクター・UV-C LED除菌装置の優位点
スタンレー電気はUV-CCL(冷陰極管ランプ)の製造販売で紫外ビジネスを10年以上前から手掛けており、除菌分野で様々な実績と信頼があるが、他のどの波長よりも除菌性能が高い265nm波長の深紫外LEDを使用したUV-C LEDリアクター、UV-C LED除菌装置を開発した。


   ■整流技術による流速分布の均一化
   ■配光技術による照度分布の均一化          ■水銀ランプと比較して省スペース化

従来の水銀ランプは水流の中心部にランプを配置するため、紫外線が十分照射されずにリアクターから流水することがある。一方UV-LED 光源モジュールを使用したリアクターの場合、リアクター内の水は整流機構により均一化されるため効率が良い。

また水銀ランプの場合、ランプから距離が離れるほど紫外線照射量が低くなるためUV照射量分布がプロードになるが、UV-LEDリアクターの場合はUV-LED光源モジュールのリフレクター技術により、均一に紫外線を照射することができる。この配光にはヘッドライトで培った技術を応用した。
これらUV照射量分布を最適化することにより、従来の水銀ランプ比6倍のUV利用効率を達成した。

低圧水銀ランプとUV-LED光源モジュールの比較

 

製品ラインアップ

高い除菌性能を持つ265nm波長の深紫外LEDを使用した水除菌装置には、小流量向けに50mWの光出力でコンパクトなUV-C LEDリアクターと、中~大流量向けに200mWの光出力で低電流駆動のUV-C LED除菌装置があり、用途に応じて様々なラインアップがある。

 

小流量タイプUV-C LEDリアクター
ULR1B/2B, 4B/6Bは、耐久性に優れたSUS筐体のため純水の用途に適している。筐体は変えずに光源部のみの交換が可能なため、ランニングコストの削減が可能である。防塵・防水性能はIP54である。
ULR24Aは樹脂筐体のためローコスト化が可能である。また、サイズが大きく流れが良いため冷却効果がアップするため飲料水に向いている。防塵・防水性能はIP65である。また、オプションとしてフローセンサーシステムを開発中である。

  共通の特長 ULR1B・ULR2B
ULR4B・ULR6B
ULR24A
■ 265nmUV-C LEDを搭載
■ 50mWの光出力
■ 整流技術と配光技術により除菌性能を向上
■ 業界最高レベルの低圧損を実現
■ 電源立上げから瞬時に高い除菌効果を実現
■ 環境にやさしい水銀レス
■ 縦・横どちらの向きでも設置可能

 

中~大流量タイプUV-C LED除菌装置
200mW高出力LEDの採用により除菌処理能力が向上(他社比3倍の流量)したため、中流量~大流量への利用が可能となった。さらに、水銀ランプに比べて低電流駆動であるため光源長寿命化(45,000h)を実現した。また、LEDは光源が集中しているため、リアクターサイズのコンパクト化(設置スペース50%)を実現した。

ULR9C/Sは中流量に適している。防塵・防水性能はIP55である。
ULR36C, ULR54Cは大流用に適している。低電流駆動することにより光源長寿命化(45,000h)が実現可能である。
防塵・防水性能はIP65である。

  共通の特長  
■ 265nmUV-C LEDを搭載
■ 200mWの高出力(業界最高クラス)
■ 整流技術と配光技術により除菌性能を向上
■ 電源立上げから瞬時に高い除菌効果を実現
■ 電源BOX付帯、メンテナンス機構搭載
■ 環境にやさしい水銀レス

まとめ

スタンレー電気は、UV-CCLという冷陰極管ランプでは小型で長寿命という優位性を生かして多くの採用実績がある。LED分野でも従来から可視光、赤外、受光のビジネスを展開し、国内外で幅広く採用されており、特に車載市場では高いシェアを持っている。

これまで培った除菌の知識・経験と、ヘッドランプメーカーとしての光学配光技術を融合させ、「高品質」「高出力」「高効率」を実現する深紫外LEDを活用したUV-C LEDリアクター、UV-C LED除菌装置を開発、販売することで、採用領域の拡大が期待される市場においてグローバルに高いシェアの獲得を狙う。今後も、UV-C LEDリアクターや除菌装置による水の除菌を通して安全・安心な安全・安心な水の提供に貢献していく。

1920年の創業以来、「光の価値」と「ものづくり」を徹底的に究め、トップレベルの光技術に挑戦してきたスタンレー電気は、UV領域でもさらに進化を続けていく。