ミネベアミツミ株式会社センシングデバイス事業部は、ミネベアミツミ株式会社のセンシングデバイス部門として、ひずみゲージおよびその応用トランスデューサー(変換器)類、並びに各種専用計測・計装機器を擁し、優れた技術と品質で各種産業の計測・計装のニーズに対応している。当社のひずみゲージ、及びトランスデューサーの技術は、独自の技術開発力と生産体制により、国内はもとより世界中で高い評価と信頼を積み重ねてきた。

センシングデバイス事業部では、様々なフランジタイプや軸タイプのトルクメーターを開発・生産してきた。従来は、軸トルクメーターに電磁誘導による非接触信号伝達方式やスリップリング方式を活用してきたが、新たに光伝送方式を採用した軸トルクメーターTMRSを加えることでラインアップを拡充させた。TMRSは既存製品と比較して加工精度の向上や、ひずみゲージの組込方法ならびに制御技術の見直しにより、低容量、高精度、高速回転、高応答を実現した。自動車、モーター、機械をはじめ様々な分野への応用が期待される。

軸トルクメーターTMRS
・低容量(±0.5Nm)
・高精度(0.03%R.O.)
・高速回転(25,000rpm)
・高応答(6kHz)
・小型、軽量

センシングデバイス製品

ミネベアミツミは、日本におけるセンシングデバイスの黎明期である1950年ごろにひずみゲージを開発・生産して以来、70年を超えてロードセル、圧力計、6軸センサーなど多様な計測機器を開発し続けてきた。粉塵、高温、多湿、振動などの特殊環境に適合した製品や一般消費者向け製品など、市場の利用環境に合わせ、高精度な製品を提供している。
また、日本、タイ、中国、カンボジアの計5拠点による生産体制で大量生産に耐えうる生産体制を構築している。

ひずみゲージ、およびその応用トランスデューサー(変換器)類、各種専用計測・計装機器を擁し、多種多様な分野で幅広く活用されている。

あらゆる産業の計測ニーズを解決した総合活用事例は以下の通りである。
   ■ はかり・計量機器(商業・業務用・量産・消費者向け)     ■ 工場・大型施設
   ■ コンシューマ製品                        ■ 物流分野

   ■ 車載                            ■ 大学との共同開発
   ■ 産業用機械                         ■ その他

   ■ 医療・介護・福祉分野                

軸タイプのトルクメーターについて

トルクメーターとは

軸タイプの回転型トルクメーターは、部品や機械の回転軸にかかるトルク(ねじれや回転力)を測定する装置である。機械や工業分野で広く使用されており、特にエンジン、モーター、シャフト、ギア、プーリー、ローラー、歯車、発電機などの回転部品の性能や状態を監視し、制御するために役立っている。特に自動車やモーター産業等の製造業や研究開発分野に広く利用されている。

トルクメーターは回転軸に取り付けられたひずみゲージによりねじれによって発生するひずみを検出し、これを電気信号に変換して出力することで、トルクの正確な測定が必要な多くのアプリケーションで使用されている。例えば、機械のモータートルク、自動車のエンジントルク、工業プロセスのモニタリング、機械の性能評価、品質管理などが含まれる。

標準的には、下図のようにトルクメーターの両軸端をフレキシブルカップリングで原動機(モーター)や負荷と接続する。その他にも、トルクメーターの両端に様々な機器を接続してトルク測定を行うことができるが、正確な測定をするためには適正な設置が必要である。
トルクメーターは水平、垂直何れの方向でも使用することが可能である

 

 

ひずみゲージ

トルクメーターには、ひずみの検出のためにひずみゲージが使われている。一般的に、電気抵抗ひずみゲージは、物体や構造物のひずみを検出し、そのひずみに応じて抵抗の変化を測定するセンサーの一種であるが、回転している軸のトルク計測の場合は、回転軸に装着されたひずみゲージでひずみを計測する。トルクは45°の角度にひずみが発生するため、ひずみによって生じた電気抵抗の微細な変化を電気信号に変換してトルク量として測定する。

ひずみゲージは非常に小さく、質量が無視できるので慣性の影響が無く、感度・安定性・疲労寿命に優れ、使用温度範囲も広く様々なひずみ測定に使用できる。

 

ミネベアミツミのトルクメーター

ミネベアミツミのトルクメーターには、電磁誘導による非接触信号伝達方式のTMR010型とTMNR型、低容量スリップリング方式のTMBN型等のシリーズがあり、使用目的にあったトルク測定、トルク計測システムへの応用が可能である。
新たに、光伝送方式を応用し、低容量(0.5Nm)、高精度、高速回転タイプの軸トルクメーターTMRS型を開発した。

 

軸トルクメーターの製品ラインナップ

 

低容量軸トルクメーターTMRS

TMRSトルクメーター

TMRSは光伝送方式により外乱に強く、複数のひずみゲージをトルクメーター内に配置しているため高精度の測定が可能である。
トルクメーターの電力伝送ユニット(コイル)から電磁誘導方式でローター部に電源を供給し、ローター部のねじれに比例したひずみを回転検出ユニット(磁気センサ)で電気信号に変換する。
その信号をさらに光信号に変換した上で、トルク信号伝送ユニットのLED を発光し、受光素子で受信して、ステーター部に信号を伝達することにより非接触での信号伝達が可能である。


TMRSの構造図

TMRSの特長
高応答:6kHz
応答性はトルクメーターがトルクの変化にどれだけ速く反応するかを示す。特にトルクが急激に変化するアプリケーションやプロセスにおいて重要な要素である。TMRSは画期的な応答性(6kHz)の向上により、瞬時のトルク変化を正確に検出し、リアルタイムでデータが利用できるため、多極モーターの正確な特性評価などに有利である。

ミネベアミツミとして既存製品を改善した特長
低容量:0.5Nm,1Nm,2Nm
TMRSは既存製品より低容量(0.5Nm)までの正確な測定が可能になった。低容量のトルクメーターは、小さなトルクの変化を検出できるため、試験や測定プロセスの高い感度が求められる科学研究や新製品開発の過程や、製品の品質管理において不良品の特定やプロセスの改善に重要な役割を果たしている。

検量精度:±0.03 %R.O.(非直線性、ヒステリシス、繰り返し性含む ※温度特性を含まず)
検量精度はトルクメーターが実際のトルク値にどれだけ近い結果を提供できるかを示し、トルクメーターが正確にトルクを測定する能力を評価するための指標である。TMRSは低いトルク領域でも高精度な測定が可能である。

高速回転:25,000rpm、高いゼロ点安定性
TMRSはシャフトの加工精度により25,000rpmという高速回転でありながら、高いゼロ点安定性と回転ゼロ移動の低減を実現した。ゼロ点安定性は、トルクメーターが高速回転中にトルクをゼロとして正確に維持できるかどうかを示す重要な性能であるが、高い製品剛性により軸端荷重の影響が少ない。

許容過負荷500%F.S.
トルクメーターは、機械の始動時や停止時等に生じる予期しないトルクの急増(スパイク)に対応する必要がある。TMRSは定格の5倍の衝撃トルクが加わっても壊れない構造なので、定格容量を超えるトルクが一時的に発生した場合でも、トルクメーターが損傷せず測定精度を維持することができる。

光伝送方式採用
光伝送方式トルクメーターは非常に高い精度でトルクを測定することができる。また、電磁干渉やノイズ等の外乱の影響を受けにくいため、信頼性が高い測定が可能である。さらに、回転軸は物理的な接触をせず、非接触でトルクを測定できるためトルクを測定する対象物に影響を与えない。

小型:ケース 54mm*50mm*40mm/シャフト長 84mm
既存製品と比べて小型化を実現したため、機器や試験装置に組み込みやすく、スペースの制約がある場所での使用に適している。なお、水平、垂直どの方向でも使用することが可能である。

主な仕様は以下の通りである。

応用例
新開発の軸タイプの回転型トルクメーターTMRSは、多くの特長により幅広い分野での活躍が期待される。

想定される応用分野と事例は以下の通りである。

まとめ

TMRS軸トルクメーターにはひずみゲージ、ベアリング等の高品質なミネベアミツミ製品を使用している。さらに、光伝送方式の活用により低容量、高精度、高速回転、高応答という大きな特長を実現した。トルクメーターとして、既存製品では対応できないような新たな用途にも応用が可能である。
さらに、ひずみゲージの応用分野は広く、直接ひずみ測定に使用されるばかりではなく、センサーとして民生用(自動車、家電、コンピューターなど)や一般産業用の計測ニーズ向けに、豊富な製品群と卓越した品質で幅広く採用されている。

ミネベアミツミは経験に裏付けされた高い技術力と共に、ミネベアミツミの相合力、安定した生産体制、万全なグローバルでの販売・サポート体制を提供している。
今後も計測・計装のあらゆる分野に総合技術の専門メーカーとして大きな役割を担っていく。