Maxim Integrated次世代産業用超小型IOソリューション「Go-IOリファレンスデザイン」

Maxim Integrated(以下Maxim)は、Industry 4.0デジタルファクトリーネットワークの末端機器に自律性(Intelligence)を持たせる次世代産業用IOソリューション、Go-IOリファレンスデザインを発表した。
非常にコンパクトな次世代産業用IOソリューション、Go-IOリファレンスデザイン
Industry 4.0デジタルファクトリーは、変化していく要件に基づきリアルタイムで生産ラインを動的に調整することを目的の1つとしている。そのため、ファクトリーネットワーク下層の制御層から末端のエッジ層に至る機器にも自動化が進み、自動化された機器は自己診断および最適化機能といった自律性を備えることが必要となる。
Go-IOリファレンスデザインは、PLC(Programmable Logic Controller)の小型化を推進するとともに、エッジ層に及ぶデジタルファクトリー機器に自律性を提供し、自動化されたファクトリーサブシステムの生産性向上を実現するために開発された。 (取材:高橋 和渡/f プロジェクト・コンサルティング)

さらなる小型化と低消費電力化を実現したGo-IOリファレンスデザイン

Go-IOリファレンスデザイン(以下、Go-IO)は、Maximが注力するIndustry 4.0スマートファクトリーおよび産業用IoT(IIoT)プラットフォームで、2014年のMicro PLC、2016年のPocket IOに続く第3弾のリファレンスデザインである。適応型生産の推進、産業用IoTによる生産性向上に対応すべく、IOの高性能化を図りつつも大幅な小型化と低消費電力化を実現しており、Pocket IOに比べて消費電力を50%削減し10倍の小型化がなされている。
Go-IOは、12の高集積IC、複数のデジタルIO構成に対応する17のIO、アナログとデジタルの両方のセンサーに対応する汎用IOインタフェースを提供する4チャネルIO-Linkマスター、機器の状態情報をローカルデータレイクやクラウドにアップロードするための高信頼性マルチドロップデータネットワークを提供する、25Mbps絶縁型RS-485通信チャネル、そして産業用高耐圧電源を備えている。
Go-IOリファレンスデザインのシステムボード
これらは、産業オートメーション、ビルオートメーション、および産業ロボットアプリケーションのニーズに基づく構成である。自動化機器にリアルタイムの状態情報を提供し、機器の自己診断機能により迅速な問題の切り分けと解決、高い稼働時間の維持を可能にして生産性の向上を図る。また、制御と自律性を末端の自動化機器に持たせることができ、生産要件の変化に機器が即座に適合することで分散制御に寄与する。以下に特長をまとめた。

小型デザイン 超小型、コンパクトな実装面積(1立方インチ以下、横1.7インチ×縦1.56インチ×高さ0.25インチ)によって工場フロア全体のGo-IOによる統合が可能。
堅牢、安全な技術 高度な産業用製品で構成され、-40℃~+125℃での耐性を保証。Maximの堅牢、安全、高速消磁技術を活用。
高効率 小さいエネルギーシグネチャを確保し効率を向上、冷却ファン不要。
強力な機能を実装 絶縁型デジタル入力、デジタル出力、IO-Linkマスター、および電源内蔵絶縁型RS-485を含む、生産ノード全体または個々の機器を制御するための17のIO一式を提供。
バッテリ寿命の延長 単4電池で最低8時間、またはLiFePO4再充電可能バッテリで最低12時間の動作が可能な初めての小型ポータブルPLCプラットフォーム。
設定可能 低電力Arm®マイクロツールチェーンおよびWindowsまたはMac OSを使用してMAX32630を介して設定可能。
自律性と分散制御 環境の変化に基づく自動化機器の自律的な動作が可能。問題が識別されると、機器は自分自身を再設定して別の作業を行うことが可能。
生産性とスループットの向上 問題を迅速に切り分ける機能をサポートし、工場の稼働時間増大を実現。

Go-IOを構成する高性能かつ堅牢なIC

Go-IOは、一部新製品を含むMaximの高性能かつ堅牢な産業用途ICで構成されている。以下は、Go-IOのシステムボードのブロック図と主要機能および構成ICである。

Go-IOリファレンスデザインのシステムボードブロック図 
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 主要ICと特長
MAX22192:産業用の24V電流シンク8ch絶縁デジタル入力で、出力は絶縁型SIP。

省電力:電流制限を各デジタル入力に備え、従来型抵抗入力に対し精度を向上させつつ電力消費を削減。
柔軟なコンフィグレーション:入力をIEC 61131-2 Type 1、Type 2、Type 3に構成可能。
エネルギー不要LEDドライバ:入力信号の電流を利用するので追加の電力消費がなくIEC 61131-2の要求に適合。
断線検出:各入力に装備。
6mm×10mm GQFNパッケージ

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MAX14912:ハイサイドスイッチまたはプッシュプルに設定可能な出力を備えた高速スイッチング、8chデジタル出力ドライバ。

低発熱:RONはクラス最高峰の230mΩ(最大)
Safe DeMag:独自の誘導性起電力マネージメント
高速スイッチング:高速制御システムに対応する200kHzスイッチング

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MAX14819:センサー/アクチュエータ電源コントローラを内蔵した低電力、デュアルチャネル、低消費IO-Link®マスタートランシーバ。

外部UART不要
全I/Fピンの過電圧、逆電圧保護

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MAXM15462:小型でシンプルな高効率産業用電源を実現するHimalaya uSLIC™電圧レギュレータICおよびパワーモジュール。-40℃~+125℃動作、42V耐圧。

CISPR22(EN55022) Class B伝導/放射適合
JESD22-B103、B104、B111

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まとめ

Go-IOは、Maximが注力している産業用IoT向けリファレンスデザインで、Industry 4.0デジタルファクトリーネットワークの末端となるエッジ層の自動化機器に必要な自己診断や最適化機能を持たせることが可能である。末端機器が自動化され自律性を備えることで、デジタルファクトリーの生産性の向上を実現する。
Go-IOのハードウェアは、Maximが産業用に開発した高性能で堅牢なICで構成されており、優れた機能を備えながら非常にコンパクトに仕上がっているので、フロア全体の末端自動化機器をGo-IOにより統合することも可能である。
なお、Go-IOはリファレンスデザイン「MAXREFDES212#」として販売されている。このリファレンスデザインには、先にボードやブロック図を示したGo-IOファクトリーオートメーションボードMAXREFDES200#、アプリケーションプロセッサボードMAXREFDES200#、キャリアボードMAXREFDES215#、24VDC出力ACアダプタで構成されている。
Maximのウェブサイトから、これらのハードウェア情報、MAXREFDES200#のサンプルファームウェア他、多くの資料やアプリケーション情報が提供されているので、末尾の「関連情報」のリンクから確認いただきたい。リファレンスデザインは、多少のモディファイが必要な場合もあるが、アプリケーションに対するソリューションとして提供されているので、機器の開発、設計に費やす時間を大幅に短縮できるメリットがあるので、その有用性は高い。

関連情報

Go-IOプログラマブルロジックコントローラ(PLC)の詳細、各種ドキュメントダウンロード
MAX22192:診断機能およびデジタル絶縁内蔵のオクタル(8回路)産業用デジタル入力デバイスの詳細、データシート
MAX14912:オクタル(8回路)高速、ハイサイドスイッチ/プッシュプルドライバの詳細、データシート
MAX14819:フレーマおよびL+電源コントローラ内蔵、デュアルIO-Linkマスタートランシーバの詳細、データシート
MAXM15462:4.5V~42V、300mA、Himalaya uSLICステップダウンパワーモジュールの詳細、データシート
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