ここで、過電流保護機能についてもう少し詳細を述べる。 最大1Aの電流を制限可能で、電流精度は0.15A~0.3Aまでが±20%、0.3A~1Aまでが±10%と高精度である。OUTピンから給電される内部絶縁電源に障害が発生した場合に、過度の発熱や果ては焼損などを防ぐために重要な機能である。電流の制限値はSETIピンとGND間に接続する抵抗値で簡単に決定することができる。 設定した電流制限に至るような障害が発生した際の応答としては、(1)自動再試行、(2)ラッチオフ、(3)継続的電流制限の3つのモードをCLTS1とCLTS2という2本のピンで選択でき、システムの要件にあわせた障害時の状態や動作を選べる。 自動再試行モードは、電流が制限値に達し21msのブランキング時間を超えて継続すると、IN-OUT間のFETがオフして出力供給が停止する。その後620msで再試行が自動的に行われFETがオンし、電流がブランキング時間を超えて制限値に至らなければ正常と見なし復帰、制限値に至ればまたオフ状態になる。(タイミングチャート参照) ラッチオフモードは、自動再試行モードの自動再試行を行わないモードで、オフになるとオフに固定する。イネーブルピン(EN/HVEN)をトグルするか、入力を再投入することによってリセットする。 継続的電流制限モードは、電流が制限値に達するとそのままの状態を維持し電流を流し続けるモード。ブランキング時間を超えて制限が継続すれば、フラグが出力され制限値を下回るとフラグが戻る。 これらのシャットダウン動作と並行して自身を過熱から守るためのサーマルシャットダウン機能が、ブランキング時間とは関係なしにチップの温度が150℃を超えるとシャットダウンを実行する。30℃下がるとシャットダウンを解除するが、復帰は各モードの復帰条件にのっとる。 |
自動再試行モード(クリックで拡大)![]() ラッチオフモード(クリックで拡大) ![]() 継続的電流制限モード(クリックで拡大) ![]() |
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OVLOとUVLOも簡単かつ柔軟に設定できる。内部でしきい値がプリセットされているのでそのまま使うことができるが、2本の外付け抵抗でしきい値を設定することも可能だ。 | |||
逆電流保護機能は、RIENピンによってディセーブルすることができ、OUTからINへの逆電流を流すこともできる。 | |||
このように、各保護機能は使用条件に合わせて調整できるようになっており、設計者にはフレンドリな仕様といえる。 |