Maxim Integratedウェアラブル機器をさらに高性能、小型にする、業界最大効率と最小IQを実現したnanoPowerブーストレギュレータ

Maxim Integrated(以下Maxim)は、ウェアラブル機器およびIoTなど民生機器に向け、nanoPower製品群の展開を図っている。nanoPower製品は、Maximの高度な低消費電力技術によるナノアンペア(nA)レベルの消費電流と小型パッケージを特長としており、ウェアラブル機器をターゲットに小型化をすすめ、バッテリ動作時間をさらに延ばすことを可能にする。

現在、nanoPower製品には、DC-DCレギュレータ、オペアンプ、コンパレータ、電流検出アンプ、マイクロプロセッサ監視回路の5製品群で展開され、「Lower Your IQ:お客様製品の消費電流をより小さくする」をキーワードに積極的に拡充している。
 
MAX17222評価キット:MAX17222 EVKIT
左側は2mm×2mm の6ピンµDFN(U101)、右側は2×3、0.88mm×1.4mm、0.4mmピッチの6バンプWLP(U1)。
同等品の実装面積を50%削減可能。(クリックで拡大)
3月に発表された、nanoPower DC-DCレギュレータのMAX17222は、業界最高効率と業界最小自己消費電流を達成したブーストレギュレータで、高機能高性能化が求められているウェアラブル機器やIoT機器に、最長のバッテリ動作時間と小型化を提供するために開発された新製品である。
(取材:高橋 和渡/f プロジェクト・コンサルティング)

業界最小消費電流と最大効率を達成したnanoPowerブーストレギュレータMAX17222

ウェアラブル機器市場は今後5年、年平均18.3%の伸びを予測
IoT市場は順調な伸びを示している。IDCの発表(2017/1/4)によれば、2016年の世界のIoT支出額は7370億ドルと推定され、前年比17.9%増。今後は2020年まで年平均成長率(CAGR)15.6%で増え、2020年に市場規模は1兆2900億ドルになると予測している。また、その中のウエアラブル機器は、今後5年間18.3%の伸びで推移するという。(詳細は末尾参照)
ウェアラブル機器、IoT機器は小型化とともに高機能・高性能を要求
普及が始まり、手首にウォッチ型ウェアラブル機器を付けている人を見ることも多くなったと思うが、まだまだこれらの機器は進化の真っ最中である。ウェアラブル機器やIoT機器には、小型、軽量、高機能、高性能が必須の要求事項である。高性能の中には、「バッテリ動作時間が長いこと」が重要性能として含まれている。小型携帯機器用のバッテリに関していえば、現状の電力密度は限界に近いといわれており、動作時間増加とバッテリサイズ削減=バッテリ容量低下はトレードオフになっている。
比類なき低消費電力、高効率、省スペースの電源ソリューション:MAX17222
nanoPowerブーストレギュレータMAX17222は、Maximが持つ高度な回路技術と製造技術により、業界最小となる300nAの自己消費電流(IQ)と、業界最大の効率95%を達成する昇圧型DC/DCコンバータである。
(クリックで拡大)


(クリックで拡大)
 MAX17222は、固定オン時間の電流モードPFM制御で、インダクタピーク電流制限をともない広い負荷範囲において高効率を達成する。また、負荷によってULPM(ウルトラローパワーモード)、LPM(ローパワーモード)、HPM(ハイパワーモード)の3つの動作モードに自動切り替えを行い、低負荷時にも高効率を維持する。このモード切替は、例えば通信機能を持つ機器では、待機時にはULPM、電力を要する送信時にはHPMで動作するなど、使用電力に幅があるアプリケーションに対して非常に効率的である。
出力電圧は、外付け抵抗1つで、1.8V~5Vを100mVステップで選択できる。この抵抗には、出力電圧が設定された後に電流が流れない仕組みになっており、徹底した低消費電流化がなされている。
非常に低い自己消費電流に加えて、True ShutdownTMと呼ぶ真のシャットダウンモードを備えた製品もラインナップされており、マイクロコントローラのプッシュプル出力からEN端子を制御してシャットダウンモードに設定した場合の消費電流は、0.5nAとほぼ無きに等しい。このシャットダウンモードでは、内蔵のスイッチにより入力と出力が切り離されて電力供給が遮断され、出力からの電流の逆流も防止する。
パッケージは、6ピンのµDFN(2mm×2mm)と6バンプWLP(ウェハレベルパッケージ、0.88mm×1.4mm、0.4mmピッチ2×3バンプ)といずれも小型で、外付け部品はわずか4個で済む。インダクタはインダクタピーク電流制限に対応する最小限のものを使用でき、他の外付け部品も小型の表面実装型で、同等品と比較して実装面積を最大50%削減可能である。

以下に特長と機能をまとめる。
MAX17222の特長 機能、利点
自己消費電流(IQ):300nA ✓バッテリ動作時間をより長くし、効率を高める
True Shutdownモード
 ・シャットダウン電流:0.5nA
 ・出力を入力から切断
 ・VOUT=0V~5Vで逆電流なし
✓シャットダウン時の自己電力消費がほぼゼロ
✓オフ時に入力から出力への電流を遮断
✓出力からの逆電流も遮断
ピーク効率:95% ✓高効率で発熱も最小限
入力範囲:400mV~5.5V(最小起動電圧:0.88V) ✓太陽電池にも対応
出力電圧範囲:1.8V~5V ✓100mVステップ、1つの1%抵抗で選択
インダクタピーク電流制限:500mA  ✓効率的、インダクタ定格は最小限
イネーブル過渡保護(ETP) ✓ENピンに対する過渡電圧による不要なシャットダウンを防止
小型パッケージ
 ・6ピンµDFN(2mm×2mm)
 ・6バンプWLP(2×3、0.88mm×1.4mm、0.4mmピッチ)
✓実装面積削減

出力電流と機能によるファミリ展開
説明に挙げたMAX17222は、nanoPowerブーストレギュレータファミリの一機種で、出力電流を決めるファクタの1つであるインダクタピーク電流制限と、True Shutdownおよびイネーブル過渡保護の有無から最適なものを選択できる。パッケージはすべてに2種類が用意されている。
製品名 パッケージ インダクタ
ピーク電流制限
True Shutdown イネーブル
過渡保護(ETP)
MAX17220 WLPまたはµDFN  225mA あり あり
MAX17221 500mA なし なし
MAX17222 500mA あり あり
MAX17223 500mA あり なし
MAX17224 1A あり あり
MAX17225 1A あり なし

まとめ

小型軽量で長時間動作を必要とする代表的なアプリケーションであるウェアラブル機器を例にとると、機器のハードウェアにおいてこれらの要求事項に対応するには、回路の電力消費を下げ、効率を高め、部品と実装面積の削減が必要になる。しかしながら、すでにこれらの要求はICをはじめとする電子部品には必須の要求事項となっており、それをどのレベルにまで高められるかは、メーカーの技術力に依存する。

アナログICをはじめとする広範な製品群を持ち、それぞれに最高性能を求めるMaximが提供するnanoPower製品は、究極の低消費電力を実現し、サイズも含めてウェアラブル機器などIoT市場を強く意識したものである。
今回取り上げたnanoPower DC-DCレギュレータのMAX17222は、業界最高効率と業界最小自己消費電流を達成したブーストレギュレータであり、高機能・高性能化が求められているウェアラブル機器やIoT機器の、バッテリ動作時間の向上と小型化を促進するキープロダクトの1つである。

また、IoT市場の特徴の1つである迅速なTime-to-Marketに対応するために、データシートなどの情報に加えて、すぐに評価が開始できる評価キットが用意されるなど、サポート体制の充実も図られている。

 

※参考情報
IoT市場全体が10%台後半の伸びを示す中、ウェアラブル機器市場に関しても順調な伸びが予測されている。IDCの2017/3/20の発表では、世界全体のウエアラブル機器市場は今後2021年までの5年間は順調に成長していくという。また、2016年のウエアラブル機器の世界出荷台数は1億240万台で、今後5年間、年平均(CAGR)18.3%の伸びで推移し、2021年には2億3750万台に達すると予測している。以下は発表時に示された、ウェアラブル機器ごとの市場および年平均成長率の予測である。

製品 2016出荷台数 2016市場シェア 2021出荷台数予測 2021市場シェア予測 2016~2021CAGR予測
 ウォッチ型 4,920万台  48.1%  15,200万台  64.0%  25.3% 
 リストバンド型 4,870万台  47.6%  5,750万台  24.2%  3.4% 
 衣服型 130万台  1.2%  2,230万台  9.4%  76.6% 
 イヤウェア 70万台  0.7%  420万台  1.8%  43.1% 
 その他 240万台  2.4%  150万台  0.6%  -9.0% 
 合計  10,240万台  100.0%  23,750万台  100.0%  18.3% 
出典:IDC Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker, March 20, 2017

関連情報

MAX17222の詳細、データシート
評価キット:MAX17222EVKIT
nanoPower製品群の紹介およびビデオ

マキシム・ジャパン株式会社
〒141-0032 東京都品川区大崎1-6-4 大崎ニューシティ4号館20F  電話:03-6893-6600
www.maximintegrated.com/jp